議案第17号 清瀬市立図書館設置条例の一部を改正する条例

議決日:2024年3月28日
議決結果:【可決】

 

松本潤:【反対】 *討論あり

 

私が議員に当選してから、『下宿市民プール』、『松山・野塩出張所』、『清瀬市立科山荘』と、公共施設を廃止するための議案が上程され、私も賛成をしてまいりました。
大前提として、公共施設の再編は必要なことです。

 

市内の多くの公共施設が昭和40年代の人口急増に対応するべく整備されたため、7割強の施設が築後30年以上となっています。
これらの公共施設は今後10年から20年で、一般的に建替えの目安とされる築後60年を迎えることになり、深刻な老朽化に直面しております。
清瀬市、公共施設再編計画<令和元年5月>によれば、今後30年間で必要な更新等の経費は786.7億円。充当可能財源を引いた財源不足額は387.7億円と想定されております。

出典:清瀬市公共施設再編計画<令和元年5月>

 

 

そのため市は、公共施設再編のために

1、地域コミュニティの維持・活性化など、市民サービスの向上を図ること
2、持続可能な市民サービスを提供するべく、公共施設の延床面積を削減すること

引用:清瀬市公共施設再編計画<令和元年5月>

 

を、再編の基本的な考え方として進めてきております。

 

ここで、今回の議案について考えてみます。
本議案は現在の市内6館体制である図書館を、『駅前図書館』と令和8年にオープン予定の『南部図書館』の2館体制とし、『野塩図書館』は閉架書庫へ。
そして、図書館が近くにない、また、交通機関がない地域の利用者や、図書館に行く時間のない方等のために、本の宅配サービスを展開するというものです。

 

図書館が廃止される下宿・竹丘・野塩地域市民センターには、市民がくつろいで本や新聞・雑誌を読んだり、自習できたりする場とする『サロン』を整備し、図書館の跡地には『児童館のような子どもの居場所』(『公共施設を活用した子どもの居場所検討委員会』の検討結果の適用)をつくるというのが主な事業となります。

 

清瀬市は全国で792(2023年10月時点)ある市の中で、9番目に小さい市です。
その中に6館の図書館があるというのは多い方ですし、今後の人口減少を考えると、人口が増えている時期に作られた施設を未来永劫維持できるはずはありません。
図書館の数が適正かどうか、これは議論していく必要があると考えます。

 

しかし、本議案が上程されるまでの流れにはかなり疑問が残ります。
まず、市側は市民に対しての説明会や意見聴取の場として、市民説明会を2回行い、清瀬市立図書館サービス基本方針(素案)に対してのパブリックコメントを実施したとありました。
パブリックコメントは令和6年1月4日から令和6年1月24日まで行われ、意見は0件。説明会は1回目が7人、2回目が4人の参加者だったと答弁がありました。
パブリックコメントの意見数や説明会の参加者が少ないことは昨今の投票率などをみても、市政に対する関心が低いのかと残念なことではありますが、問題はこのパブリックコメントと説明会の案内に【図書館を6館から2館にする】という文言がなかったことです。

 

清瀬市パブリックコメント実施要綱を参照しますと、

(目的)
第1条 この要綱は、パブリックコメント実施に関し必要な手続等を定めることにより、市の重要な施策を策定する過程において、公正の確保と透明性の向上を図り、もって市民の市政への積極的な参画と市民との協働によるまちづくりを推進することを目的とする。

引用:清瀬市パブリックコメント実施要綱

 

とあります。
【図書館を6館から2館にする】という文言もないままパブリックコメントで意見を募ることに、果たして公正の確保ができているのか透明性の向上が図れているのかと考えると、私はできていないと思いますし、大多数の方はどう判断されるのでしょうか。
説明会の案内にも【図書館を6館から2館にする】という文言はないので、図書館の廃止を、市民は説明会に参加して初めて知ることになります。しかし、意見を表明しようと思っても、説明会の開催日がパブリックコメントが終了した後である、2月20日と2月24日でした。一体何のための説明会で、何のためのパブリックコメントなのでしょうか。
図書館を減らすとなれば反対意見は出るでしょうが、必要な施策であるならば、市側には隠すようなことをせず、市民と堂々と向き合っていただきたいと考えます。

 

また、市民であれば誰でも利用できるという、宅配サービスについても話が詰め切れておりません。
バスやタクシー、トラックの運転手などが不足すると言われる2024年問題もある中、市は宅配サービスの利用者を年間9万件と見込んでいると答弁がありました。
市民であれば無料で図書の宅配サービスを利用できるというのは全国初の取り組みのため、この9万件という予測が正しいのか、誰にもわかりません。
宅配の11%を占めると言われる再配達の問題や、輸送コストや配送方法についても、3月議会では詳しい説明がなく、次の6月議会での私の一般質問で初めて明らかになった部分もあります。
9万件の宅配にかけるコストが1億円。予測より宅配サービスの件数が増えた場合、全て市の一般財源で賄わなければなりません。

 

また、本議案は公共施設再編計画の基本的な考えである、公共施設の延べ床面積の削減にはなっておりません
市内で図書館単体の施設は『中央図書館』だけであり、中央図書館も令和8年オープン予定の南部地域児童館等複合施設内に入り、『南部図書館』となることはあらかじめ決まっております。
図書館単体の建物であれば、廃止して取り壊せば延べ床面積の削減になるでしょう。
しかし、下宿、野塩、竹丘図書館は廃止となっても、元々地域市民センター内にあるため建物は残りますし、図書館の跡地を『児童館のような子どもの居場所』として整備するとなると、維持費も人手も必要となります。
さらに、3月議会の時点では『野塩図書館』を閉架図書とし、本の保管場所とする予定となっておりましたが、6月議会において、閉架図書の保管場所は野塩ではなく、建設費と書架の整備費用の合計4億円をかけ、梅園に新たに閉架図書を保管する場所を建てることが決まりました。結果的に公共施設の延べ床面積は増えてしまっているわけです。

 

最後に、指定管理者制度の導入についてです。
学童保育にしろ、各市民センターにしろ、市の運営ではなく、指定管理者に運営していただくことには私は賛成の立場です。
本議案の中には図書館の運営を指定管理者に任せるという内容も含まれておりました。

 

懸念は、3月議会で決まっても、指定管理者の募集・選定をしようとすると時間が足りないのではないかということです。
次年度の4月から行うとされる宅配サービスも指定管理者に任せるとすると、最低でも12月には指定管理者が決まっていないといけない。また、現在図書館で働いている会計年度任用職員の方々には、指定管理に移っても継続して働いていただきたいというのが市の方針です。任用職員の方々にきちんと説明し、納得していただける時間はあるのでしょうか。

 

⇒指定管理の導入については、9月議会で令和8年2月からと延期になりました。

 

 

図書館問題については、閉架図書館の建設や指定管理者制度導入の延期、他にも駅前図書館のトイレの改修等、後から出てくる変更点が多いと感じます。
本議案は継続審査の動議が委員会・本会議の2回出されましたが、否決(清瀬自民クラブ・公明党が反対)され審議は継続。
【可決】となりました。

 

私は反対の立場から討論を行いました。
 

議案第17号について反対の立場から討論をいたします。
本議案は、図書館6館を2館に集約し、本の宅配サービスによって、自宅を第三の図書館にするという非常に大きな事業、そして、大がかりな公共施設の再編であると捉えております。
 私は、公共施設の再編については、基本的には推進していくべきだという考えを持っておりますが、公共施設は市民の福祉を増進させるために設置されたものでありますので、見直しや再編においては、市民の暮らしや地域の実態、ニーズや意見をしっかりと反映させながら進められるべきだと考えております。ほか議員のご指摘のとおり、本議案については、様々な議論をする時間があまりにも少なかったのではないでしょうか。
 まず、本の宅配サービスについてですが、こちらにおいては、物流への影響が懸念されます。予定されている宅配サービスは、利用数を年間9万件と見込んでいると答弁がありましたが、9万件という数を丸々民間委託してよいのか、物流業界を圧迫させてしまわないか、本市が行う事業ならば、事業の先の影響も考えるべきであります。
 運輸業での時間外労働の上限規制が2024年4月1日から適用されます。俗に2024年問題と言われ、トラック等の運転手の労働時間が短くなることで、輸送能力の低下が懸念されておりました。その中で、宅配業者大手2社が4月1日から2年連続となる料金の値上げ改定を発表しております。宅配サービスにかかる経費として見込んでいる1億円という金額が妥当であるのか、法人契約料金が上がった場合、月の利用回数に制限がかかるのかなど、議論が深められておりません。
 また、宅配便における再配達問題もあります。宅配便の11%以上が再配達となっている現状において、再配達防止への対策をしっかりと行わないと、人的コストがかかるだけでなく、対外的な批判を受ける可能性がありますし、自動車が使われればその分、ゼロカーボンシティ実現への取組にも影響があると考えます。
 また、市民ニーズの捉え方の面でも疑問点があります。
 令和5年度清瀬市行政外部評価市民アンケートでは、ゼロ歳から6歳までのお子さんをお持ちの保護者が図書館に期待するサービスとして、貸出し図書の宅配サービスが45%、図書館の中にカフェスペースがあることへの回答が57%となっており、このアンケート結果を清瀬市立図書館サービス基本方針素案の中で、市民の図書館に対する意識として参照されておりますが、アンケートについては、現状の図書館6館体制を継続した上で求めるサービスという意味で皆さん回答されていると思いますので、市民ニーズとの齟齬(そご)が生じている可能性があります。
 また、1年間に図書館の本を利用された市民は13%であるとの説明がありましたが、これは図書カードの利用者数で計測されていると伺いました。この数字がきちんと実態を反映しているのか。例えば、子どものために親が図書館で本を借ります。親のカードなのか、子どものカードなのか、とりあえず利用したカードは1枚分。しかし、子ども本人が読まなくても、親が読み聞かせを行えば、本の利用者は2人以上になりますが、利用されたカード数で考えてしまうと、利用者は1人としてカウントされてしまいます。
 令和4年度の事務報告書を見ますと、本の貸出し数が一番多いのは元町子ども図書館でありますし、条例改正の根拠とする数字に不確定要素が含まれるのは好ましくありません。市民ニーズを正確に把握するのであれば、別の方法を検討するべきだと考えます。
 そして、最大の問題点は、市民への周知の在り方についてです。
 今回、条例の提案に当たり、パブリックコメントを募り市民説明会を2回開催したと説明がありましたが、なぜ6館を2館にするという文言をあらかじめ出さなかったのか。清瀬市のパブリックコメントの実施要綱第1条には、パブリックコメント実施に関し必要な手続等を定めることにより、市の重要な施策を策定する過程において、公正の確保と透明性の向上を図り、もって市民の市政への積極的な参画と市民との協働によるまちづくりを推進することを目的とすると明記されております。果たしてこの要綱のとおりにパブリックコメントが実施されたと言えるのでしょうか。
 また、清瀬市立図書館サービス基本方針素案にも、図書館の基本方針として、知る自由を社会的に保障する機関として、市民の教養に資する情報を各分野から幅広く収集することとの旨が。そして、地域の情報の提供、郷土愛の醸成の項目には、行政サービスの照会等の情報をあらゆる手段を用いて提供しますと記載されております。それでしたら、なぜ情報を収集発信するための図書館に関する条例を定めるのに、情報が適正に公開されないのか、非常に残念に思っております。
 先日、下宿図書館に行ってまいりました。7歳と5歳の子ども、それぞれ読みたい本を選んで、寝る前に3人で並んで読もうと思ったとき、読むのは私ではありませんでした。7歳の子が5歳の子に読み聞かせをしておりました。これは、図書館で多くの本の中から子どもが自分自身で選んだ本だからこそできたことだと思います。
 地域の図書館が閉館した後、サロンないしは子どもの居場所で、子どもが本に囲まれる環境、自由に選べる環境がなくなってしまうのではないか。特に保護者の方で不安に感じている方は多いと思います。サービスの向上につなげるための施策であるならば、不安を払拭するため、具体的に市民に説明する必要があるのではないでしょうか。
 議案第17号資料その2で、今後のサービス展開の予定が示されておりますが、こうした資料、そして、サロンや子どもの居場所の具体的なイメージ図などを合わせて、それを基にパブリックコメントないしは市民意識調査を行うべきだったと考えます。
 6館を2館にしますとあらかじめ公表すれば、様々な意見、批判が飛んでくるでしょう。しかし、説明会などで、清瀬市の今後について、そして図書館を集約する目的をしっかりと説明をすれば、理解してくださる方は多いのではないかと思っております。
 例えば、清瀬市の人口動態の推計では、15年後は今より人口が約5,000人減少します。その中で、高齢者の数は今よりも増え、高齢化率は30%を超えます。社会福祉費等の扶助費に係る金額は今後も増大し続け、生産年齢人口が減る分、税収が下がります。ですので、年間4億円かかる図書館6館体制を見直し、かつ貴重な財源をより広く市民の方に還元できるように、そして、読書の機会を幅広く持っていただくために宅配サービスの導入をするのですと、こういった説明をあらかじめできなかったのでしょうか。
 図書館を市民の共用に資する場とするのであれば、図書館条例の改正に際し、今後の本市の財政状況の話を併せて説明会を行うというのは、自分たちの住む地域を知るという生涯学習の面でも有効だと思いますし、中学校または小学校高学年であれば授業の一環で話合いができると思います。
 図書館の年代別の利用率が一番高いのは、ゼロ歳から14歳までの子どもたちです。子どもの居場所を検討するのであれば、子どもたちの話合いの中で意見も聞けますし、GIGA端末を使って電子書籍を試してみる取組なども検討できたのではないかと考えます。
 小学生が議場を見学しに来ているのも度々拝見しております。例えば図書館のことで、こんな話が出ていますと、授業の中で子どもたち自身に考えていただき、意見をまとめてもらう。そして、その意見やパブリックコメントなどを踏まえて、本市がどう整理をし、議案を出すのか。そしてそれが議会でどう議論をされてどう決まったのかを学ぶ、これは主権者教育という観点からも大変重要なことだと思います。利用者のニーズ、意見を取り入れる姿勢があれば、今申し上げたような取組も検討できたのではないでしょうか。
 非常に大きな事業です。決まってからではなく、決める前に様々な議論を交わし、市民が参画できるような取組こそが未来への投資だと考えます。宅配サービスという、ほかに例を見ない取組が導入されれば、ほか自治体からも大きな注目を集めるでしょう。そのとき、市民への説明の仕方、議論の在り方、宅配サービスの内容だけではなく、導入に至る過程もモデルとなれるような清瀬市であってほしいと願っております。そのためにはより時間をかけた議論が必要と考えます。
 以上のことを申し上げ、議案第17号の反対討論といたします。

 

 

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